一週間以内、との母に対する宣告に対し延命措置を拒否する旨、告げる。
夏の薄暮のなか、一瞬、その熱気の揺らめきが無くなるかのごとく瞬間戻った清明な意識に対し、おそらく今生、最後になるであろう言葉を交わせたことはなんの僥倖ぞ。
たとえ一刻であろうとも命ながらえさせることよりも、一刻たりとも苦痛を感じさせたくない選択をした子と、自らはそのいずれの選択からも疎外された母が、彼岸とやらで再びまみえることは有りや無しや・・・。
さらば、夏の日に、さらば。